私の名前はジェリー。人呼んで「たぬき探偵ジェリー」。ここ静岡市でしがない私立探偵をしている。その名の通り、私はたぬきである。とある劇薬を飲まされて人間からたぬきに変えられてしまった。私は人間に戻る方法を探すために探偵をはじめたのだ。

 私の肩に乗っているのはカメレオンのメロン。彼の境遇は知らない。元々人間だったのか、それともカメレオンのままなのか、聞いても答えてくれないの。私は彼とコンビを組んで、難事件の解決に努めている。

 三月になり暖かくなってきた。青葉公園の緑もちらほら増えてきて、そろそろ桜も咲く頃だ。街には人が増えてきている気がする。冬から春へ。大きく世間が動く頃だ。なのに、私立探偵事務所には依頼はまだない。開業してから一度もだ。そんなに世の中甘くないということだ。

 メロンは私の肩でグーグー眠っている。彼は一日のうち三時間しか起きていられないらしい。IQ150の頭脳を持っているのだが、ほとんど眠っていたら、その能力を発揮できないんじゃないかと思い始めた。しかし、私は頭が良くないので、メロンに頼らざるをえないのも事実だ。

 カランコロン、という音とともに、一人の客が探偵事務所に入ってきた。「すみません、こちらは探偵事務所ですか?」と入口のほうで声がする。

「は、は、はい。そうですよ」私はあまりにびっくりして声が裏返ってしまった。

 入口まで行くと、そこにはふくよかな男が立っていた。白いエプロンみたいなものを着て、ふっくらした顔には笑顔が張り付いていた。

「私、すぐそこでおでん屋をやっている者なのですが、折り入って相談がありまして……」

「そそそそそそれではこちらにおかけください」どうもあがり症はたぬきになっても変わらないらしい。

 メロンは起きる気配がない。こんな時のためにメロンがいるのに、どうして起きないんだ。探偵って一体何をすればいいのか、こっちはさっぱりわからないのに。

「このハンカチの持ち主を探してほしいんです」

 店主はポケットからハンカチを取り出して机の上に置いた。薄いブルーのハンカチで、レースが入っている。

「ちょ、ちょっと見てもいいですか?」

「あまり汚さないでくださいね」

 私がたぬきだから言っているのだろうか。確かに指の先まで毛むくじゃらだから、毛がつくことを恐れているのだろう。私は仕方なく白い手袋をしてハンカチを広げた。ごくごく普通のハンカチである。ハンカチ以外の何物でもない。これをハンカチと言わずしてなんと言おう。ハンカチの表裏をペラペラめくりながら、ハンカチにしか見えないんだけどどうしたらいいんだろうと考えていた。

「Fって文字があるぞ」

 耳元でささやく何かがいる。左を見ると、メロンが目を覚ましていた。彼は私の肩から腕を滑り落ちて、私からハンカチを奪った。

「彼は?」とおでん屋の店主。

「ジェリーの相棒のメロンだ。どうぞよろしく」とメロンが言った。「Fの文字が刺繍されているな。これはおそらく持ち主のイニシャルだろう。名前か、苗字か。Fなんて名前は少ないから、だいぶ特定されるだろう」

「でも、それだけだと何にもわからないじゃないか」と私は言った。

「それを見つけるのがおれたちの仕事だ、ジェリー。案ずるな、それほど難しい仕事じゃない」

「もう誰のものか分かったのか!」

「そんなわけあるか! これから調べるんだよ、君が」

「わわわわ私が?」

「な、何をそんなにうろたえてるんです?」とおでん屋の店主が言った。「あの……、大丈夫ですか? 難しいようでしたら他を当たりますので……」

「心配ご無用」とメロンが言った。「して、店主さん。あなたはなぜこのハンカチの持ち主に会いたいのでしょうか?」

「すみません、それは言えません」

 メロンは大きな目を細くして相手の顔をじっと見つめた。まさか、メロンの目は千里眼なのでは……。

「それはそうですよね。じゃなかったら探偵事務所になんて来やしない。よほどの理由がない限りね。まぁそれはいいでしょう。動機を聞くことで事件解決に結びつくとは思えませんし。それじゃあもうひとつの質問。この持ち主があなたのおでん屋に来ておでんを食べたということですね?」

「はい、そうです」

「ど、どんなおでんを食べたんですか?」つい私が言葉を遮ってしまった。

「タマゴとこんにゃく、黒はんぺん、牛すじ、ちくわ……。あと、ソーセージも」

「ああ、いいなぁ、美味しそうだなぁ。今度、行ってもいいですか? たぬきは入店お断りですか?」

「別にたぬきでも構いませんが、毛を落とさなければ……」

「すみません、いいですか?」とメロンが言った。「その方はどんな方でしたか? 特徴を教えていただきたい。ジェリー、メモを」

「その方は、女性の方で、髪の毛が長くて、あ、髪は黒かったけどちょっと茶色かったかな。帽子をかぶっていて、背はたぶん普通くらいかな」

「普通ってどのくらいですか? 具体的に」

「160センチくらいだと思います。私が175センチですから、立った時、だいたいこのくらいでしたから……」

「他に特徴は?」

「あとは……、まぁきれいな方でしたね」

「何歳くらい?」

「二十五くらいだと思います」

「もも、もしかして、その女性に惚れてしまったとか?」私はピンときた。たぶん、店主はその人に告白したいのだろう。

「いやいや、違いますよ。そういうんじゃないですよ。だって私は家内と二人でお店をやってますから」

「そうですか……」まさか、店主はその子に惚れてしまって、だけど奥さんがいるから何もできない。でもその気持を抑えきれずにたぬきに相談に来た。あながち間違いではないかもしれない。私はメモに、浮気、不倫の可能性あり、と書いた。

「他に特徴はなかったですか?」とメロンが言った。

「あとは、そうですね、唇はぷるんとしていて、目はぱっちり二重で美人な感じ。鼻は少し丸かったかな。でもちょっと記憶が曖昧になってますね。あとは目元にほくろがあったかな。それがまたセクシーでした。あとは……、気遣いができる良い子でした。あ、そうだ、左利きでもありましたね」

 怪しい。怪しい。そんな女性のことをジロジロ見る店主、どこにいるんだろう。絶対浮気をしたいんだ。私はメモの浮気、不倫の文字を二重丸で囲んだ。

「ありがとうございます。それだけ聞けたら大丈夫です。あとの個人情報はジェリーに」

 え、もう終わり? 私はメロンの言葉に拍子抜けしてしまった。

「もしかして、もう分かったのか、メロン?」

 メロンは私に目配せをして、私の肩の上に戻ってきた。パイプに火をつけてひと息つき、私に耳打ちをした。「そのことは後で話そう」

 簡単な手続きをして、ハンカチの持ち主が見つかったら連絡する旨を伝え、店主は事務所を後にした。

「なななぁ、メロン、もう分かったのか?」

「分からない。これから調べるんだ」

「もう聞き取り調査はいいのか?」

「ジェリー、気づかなかったか? あの店主、なにか隠し事をしているぜ」

「きき気づいたさ。お、奥さんに黙って浮気をしようとしているんだろ?」

「違う。そうじゃない気がする」

「え、だったら何さ?」

「もっと深い何かだ。それをこれから調べる」

「でもどうやって……?」

「ヒントはこの青いハンカチだ。まず、ハンカチの購入経路を調べる。どの店で販売されているか静岡市内で青いハンカチを売っている店を調べるんだ。それからFのイニシャル。イニシャルを入れられる店はそう多くないはずだ。買った店と買った人がある程度特定できれば、さっきの店主の証言と一致する人物が、依頼主が探している人物だ」

「なな、なるほど! すごいな、メロンは!」

「あとは君の仕事だ、ジェリー。調査をしっかり頼むよ。おれはもうすぐ寝るから」

「もうすぐって起きたばかりなのに……」

 だが、メロンの推理はさすがだと思った。確かに自分で頭がいいというだけあるな。私とは頭のキレがまるで違う。これで事件はすぐに解決。探偵ってなんて楽ちんなんだ!

 ということで、私はメロンの指示に従って静岡市内でハンカチを売っている店をくまなく探した。すると、すぐに店が特定でき、店員から話を聞いているうちに三人まで絞ることができた。なんて簡単なんだ! だが、ここから私はひとつの壁に当たった。最後の詰めができないのだ。私のブレーンであるメロンは夢の中。私はお手上げ。そこで、私は唯一解決する方法を使うことにした。それは、この文章を読んでいるあなたへの依頼だ。

 私が途中まで解いてきたこの事件をあなたに解いてほしい。

 これから私の調査したメモを公開する。それを解いて、答えを教えてほしい。どうだろう、できるだろうか? たぶん私より頭のキレる君だ。きっと出来るはずだ。決して丸投げではないからな。もちろん報酬だってある。安心したまえ。

 それでは宜しく頼んだ。良い報告を待っている。アディオス!

 

 
概 要
 

<遊び方>

【1】ストーリーを読む。

   ※ストーリーが謎に関係しているかもしれないぞ!

【2】謎解きゲーム(前半)をスタート!

【3】謎解きゲーム(前半)の謎を全て解き明かし、正解をフォームに入力。

【4】正解の場合は、後編への導入ストーリーが表示される。不正解の場合はもう一度やり直そう。

【5】謎解きゲーム(後編)は現在静岡の街中で配布中!

【7】謎を解いたら、「答え」を「たぬき探偵ジェリー」のTwitter、またはフェイスブックページへメッセージする。

  ※この時、ジェリーをフォローorいいね!しておく必要があるぞ。

 

注意事項
 

・この謎解きゲームは携帯電話やパソコンがあればできます。実際に静岡市に来る必要はありません。

・謎解きをする前にストーリーを読むことをオススメします。

・問題を解かなくても進める場合がありますが、前の問題を解いてないと解けない問題もあります。

・問題の答えやネタバレになることをTwitterやFacebook、ブログ等で発信することは禁じます。

・何人で解いていただいても構いません。

※景品プレゼントは終了しました。後編のゲーム説明にプレゼントの記述がありますが、無視してください。また、後編の販売も終了いたしました。

※整理番号は記載していません。解答の際は答えだけお送りください。

「後編」配布場所
 

静岡の体験型謎解きゲーム「たぬき探偵ジェリー」

© 2020 維新エンターテインメント株式会社

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